大会長挨拶
この度、全国地域リハビリテーション合同研修大会を本年7月27日(土)・28日(日)に長崎市で開催させて頂くこととなりました。
長崎では今回で3回目となり久しぶりの開催を嬉しく思います。
長崎の地域リハビリテーションの歴史は、1983年に施行された老人保健法に基づく機能訓練事業の取り組みから始まりました。小倉リハビリテーション病院名誉院長であられる浜村明徳先生が国立療養所長崎病院(現 国立病院機構長崎病院)におられ、先生を中心に長崎県、県保健所、市町の保健行政に関わる保健師さんをはじめとした職員の方々のご協力のもと事業展開いたしました。長崎県は離島を有し、その頃の離島にはリハビリ専門職は不在で、島外の医師、理学療法士、作業療法士から構成したチームを組み事業に当たりました。その後、2000年に介護保険法が施行され、同時に回復期リハビリテーション病棟の新設、地域リハビリテーション支援体制整備事業の開始など医療・介護・地域の各分野においてリハビリテーションへの期待と責任が求められているように思います。そして、2025年の地域包括ケアシステムの構築と充実、さらにこれからの共生社会の実現に向けて展開していく必要があります。
今回、長崎で開催するに当たり、研修会テーマを「地域に寄り添い、地域を支え抜く! ~コロナ禍で見えてきたもの~」といたしました。長崎での地域リハビリテーション活動は高齢者に対する介護予防・自立支援を通して、生活圏域単位で展開すべく地域密着型の支援体制の構築を目指しています。そして、それはいかに住民の方々及び地域に寄り添い、支える体制を構築できるかにかかっているものと思います。4年前のコロナウィルス感染拡大により強いられた自粛生活は、人々との交流や社会との交流がなくなり、的確な情報発信と提供、相談と支援することの重要性を改めて思い知らされました。
研修会では、地域リハビリテーションの理念である「住み慣れた地域」、「その人らしさ」を考えるべく、シンポジウムにおいて、地域包括ケアシステムの主体である住民活動の課題を改めて確認し、その支援体制や関係機関の連携はどうあるべきか、そしてこれらの議論より今後の地域リハビリテーションの支援体制はどこへ向かうべきかを提言できればと考えています。
今、長崎は100年に一度のまちづくりの基盤整備が行われています。その長崎へ多くの方にお越しいただき、これからの地域リハビリテーションについて意見を交わしたいと思います。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。
大会長 井口 茂(長崎大学 医学部 保健学科)